整体法は新型コロナに何ができるか

現在、自分が新型コロナにかかっているか分からず不安だったり、まだ特効薬が無いため自宅で闘病せざるを得ない方も少なくないようです。

「整体法」は日本の伝統的な代替療法ですが、医療ではないので何か病気を治せるという事はありません。しかし、現在のように良く効く薬や医療設備もない時代から、「個人の自然治癒力を最大限引き出す」ことで病気に対処しようと長い間積み上げられてきた、臨床経験に基づいた独自の技術と理論を持っています。

この世界的な新型コロナウイルスの流行に際し、むしろ伝統的な整体の知恵が役に立つのではと思い、それらの技術の中からご家庭でできる簡単なものをご紹介する事にいたしました。

  1. 医療機関受診の目安(医学的基準と整体的基準)
  2. なぜ肺が炎症を起こすのか
  3. 肺炎の時、整体ではどう対処するか
  4. 鎖骨への蒸しタオル
  5. 鎖骨よせ
  6. 肺炎の予後
  7. 終わりに(次々と襲いかかる新型ウイルス)

1、医療機関受診の目安

言うまでもありませんが、各国の医療機関が感染予防対策と医療機関受診の目安を発表していると思います。そちらを順守なさって下さい。
その前提で、整体ではどのように肺炎(や結核)を判断するか、その方法を書いておきます。

一息四脈の法
高熱が出ていても、脈拍数に対して呼吸数が対応していれば酸素の供給ができているので自己治癒力で回復に向かうことが可能ですが、呼吸が弱ってくると酸素が欠乏し、危険な状態に近づいて行きます。

健康な状態では、人は1回の呼吸あたり4回脈を打つと言われています。これが呼吸1回あたり脈拍が、
2回前後になると危険な状態(SARS, 肺炎、結核など)と見なされます。
3回だと要注意。
4回か、それ以上になる分にはあまり問題視されません。

測り方としては以下のようになります。

  1. 一分間、呼吸数を測る
  2. 一分間、脈拍を測る
  3. 呼吸数で心拍数を割る

2、なぜ肺が炎症を起こすのか

「炎症」とは異常に対する生体防御反応です。今回であればSARS-CoV-2という新型ウイルスに対して、肺が炎症を起こして白血球をたくさん送り込んだり、死んだ細胞を取り除いたり、新しい細胞を増殖させたりしています。
ですから炎症を無理に止める事は望ましくありませんが、例えば免疫が過剰反応を起こして健康な肺細胞まで破壊してしまう(サイトカイン・ストーム)ような場合は、急激な呼吸困難を起こすため炎症を抑える医療措置が取られるようです。

整体には、医療ではないので薬が使えないため、患者本人の「呼吸する力」を引き出す事で対処する方法が伝わっております。

3、肺炎の時、整体ではどう対処するか

体には呼吸を助ける筋肉がたくさんありますが、その中でも重要な役割を果たしている筋肉が大胸筋です。そして、大胸筋をカーテンレールのように吊り下げているのが鎖骨です。大胸筋は鎖骨を支えにしながら呼吸を助けていますが、肺の負担が大きくなってくると、だんだん疲労して弾力を失ない、呼吸を助けられなくなってきます。この時、大胸筋は痩せて弱々しくなっていますし、それを支える鎖骨は周辺組織(靭帯、腱)の硬直によって、触れてみると骨自体が硬く感じられます。

特に、胸鎖関節という喉に近い所にある関節が硬直して動かなくなってくると喉が締め付けられて、呼吸ができなくなり危険です。そのため、鎖骨、特に胸鎖関節を弛めて大胸筋の伸縮を支える力を取り戻すことが対処法となります。

4、鎖骨への蒸しタオル

鎖骨は非常にデリケートな箇所ですので、プロでも操作が難しいところです。ですので、ここでは一番安全で誰にでもできる「鎖骨周辺に蒸しタオルを当てる」方法をご紹介します。詳しい場所は、後述する「鎖骨よせ」と同じあたりです。

蒸しタオル法の基本

  1. 85cm×35cm程度の、やや厚手のタオルを1枚用意します。
  2. タオルを手のひらより少し大きい程度の大きさにたたみます。
  3. 水に浸して、水が滴らない程度に水分を残して絞ります。
  4. 加熱します。熱くなりすぎた時は、火傷しない温度まで冷ましてください。
    ・電子レンジを使う方法… 60〜90秒程度加熱します。
    ・熱湯を使う方法… 熱湯にひたしてから絞ります。火傷しないようにゴム手袋をはめて絞りましょう(軍手の上からゴム手袋をはめるとより安全でしょう)。
  5. 快適な温度よりは高く、火傷するよりは低い温度で患部に当てます。
    4分ほど経って冷めてきたら、同じタオルを温め直します。
    再び患部に当てます。3〜5回繰り返します。

(蒸しタオル法の後に好転反応として一時的に咳が酷くなる可能性がありますが、なるべく咳は出すようにして下さい。

また、ホッカイロなどで代用せず必ず蒸しタオルで、この手順で行って下さい。

その理由はこちらの記事で詳述しております)

この熱の上下が筋肉の伸び縮みを誘導して、ひいては肺の伸び縮みを誘導します。通常は呼吸が楽になりますが、かえって苦しく感じる時は中止して下さい。

5、鎖骨よせ

もう少し難しい方法としては、介助者が両手で鎖骨を寄せる事で胸鎖関節周辺を弛める技術があります。
上図のL(青色)が左手、R(水色)が右手ですが、まず右手を相手の胸にあて、左手でその上からしっかり締めます。呼吸困難の人の鎖骨ほど硬く感じますが、締めてあげると呼吸が楽になります(これは不思議な感じがするでしょうが、テニスの後などに手首が痛い時に、なんとなくグッと締めた事はありませんか?関節には締めるとゆるむ、という原理があるのです)
決まった時間はありませんが、そのまま30秒ほど固定して、患者の呼吸が少し穏やかになってきたら、ゆっくりと手を離します。
施術者がグラグラしないこと、相手の左右のバランスを崩さないことに注意して下さい。

6、肺炎の予後

整体では「肺炎の後は1年間は腕を使ってはいけない(重い物を持ってはいけない)」と言います。
上腕二頭筋は肩関節につながっていますが、肩関節は鎖骨とつながって、共に胸部を支える重要な役割を担っています。その為、まだ肺が充分回復していない弱い時期に腕を使うと肋骨が下がり、中に入っている肺を圧迫して回復を妨げ、すなわち体力の回復を妨げます。

また、手のひらも肺と関係が深いため、肺炎の後しばらくして手のひらの皮がボロボロむけることがありますが、これは「肺の脱皮」と言って回復の一つの目安となります。

7、終わりに

この度、武漢を中心に新型コロナウイルスが急速に広がってしまいましたが、過去にはSARS、MARS、古くはスペイン風邪、と伝染病は常に人類を襲っていますし、これからも続くでしょう。公衆衛生によって伝播を防ぐこと、遅らせること、先端医療によって治療することがもちろん重要ですが、同時に「個々人の生命力を高めること」も重要です。

この記事で述べた対処法は通常の肺炎、喘息など呼吸器系の症状に適用されて来たものですので、新型コロナにも応用可能かもしれません。伝統療法としての整体法の知恵が、少しでも役に立つよう願っております。

この記事に関しての質問や、体験談などありましたらぜひお寄せ下さい。

整体では燃え尽き症候群をどう扱うか

燃え尽き症候群、と言うのは要するに「仕事でとても疲れた」という事のようですが、一度職場の記憶と疲労が結びついてしまうと、職場を思い浮かべただけでもう疲れるようになります。つまりトラウマとか、条件反射のようなものですので、その解消に関してはその道の専門家に委ねたいと思います。

私は整体師であり、『整体』とは個人の偏り疲労を解消して、生命を余す事なく燃焼させる技術、思想体系です。ここでは、むしろ我々が「とても疲れた」状態にどう対処しているかを整体の視点から記述して参ります。

 

「偏り疲労」とは?

通常、人は全身がまんべんなく疲れると心地よい疲労感に包まれ深く眠り、朝にはスッキリ元気に目覚めることができます。しかし現代のように職業が細分化されると、パソコンで目と脳ばかりが疲れる、歯医者で利き手だけが疲れる、など疲労が偏るようになってくる事がよくあります。

すると自分では全身疲れ果てたように感じていても、体の他の部分は元気なので、元気な子供と疲れた子供を同じベッドで寝かすようなもので眠る時に深く眠れない。なので朝になってもスッキリ起きられない。こういう時は他の部分もまんべんなく使って疲れさせてやると眠りの質が良くなるので、仕事の後にジムに行って運動する人も多いようです。

しかし、それでも偏りが取りきれず蓄積してくると、漠然と運動しただけでは偏りを解消してグッスリ快眠、とはいかなくなってきます。この場合、偏りに対して焦点を絞った人体力学体操や、蒸しタオル法、操法などが必要になるでしょう。具体的な方法については後述いたします。

 

疲労とは何か

疲労とはエネルギーを消耗した状態ですが、エネルギーは弾力の中にあるので、「体が弾力を失った状態」と言えます。柳に雪折れなし、というように、柔らかい体は硬い体より強い。子供が転んで何ともなくとも、老人が転ぶと骨折する。「弾力を失うとストレスを受け止められる範囲が狭くなる」という言い方もできます。

これは感受性においても同じ事で、いつもなら笑って聞き流せる冗談でも、疲れていると激怒したり落ち込んでしまったりしがちです。

 

「カンがいい人」というのは相手の顔を見て何を要求しているのかわかる。ちょっとした仕草で寒いのだな、何か飲みたいのかな、上司がイライラしているけど、お昼を食べ損ねたからだな、等とサッと気がつきます。そういう人は子育ても上手なようです。

しかし、そういう人でも疲れるとカンが鈍くなってきます。センサーの感度が落ちる。視野が狭くなる。だから相手の要求が読めなくなり交渉に失敗する、ミスが増える、相手を怒らせて何が悪かったかもわからなくなる。

こういう疲れている時は、他人から見ると目に力がなく、いつもより小さく見えます。パートナーや子供であれば、ベッドの下の方に下がっているのに気がつくでしょう。これは寝返りを打ちながら下がっていくからなのですが、もっと酷くなると寝返りそのものを打たなくなります。

元気な時は、目に光があり、大きく見え、寝ていても上へ上へ上がっていったり、上下逆さまになっていたりします。

 

下丹田

しかし、もっとも総合的に体力を表す指標は『下丹田』の弾力を見る事でしょう。

下丹田とは、恥骨から指を横に並べて3本上にあるポイントです。仰向けに寝てここを押さえてみて、心地よい弾力がある人、ある時はエネルギーに満ちています。そういう時は上司に多少厳しい事を言われても、反発する力があるのでさらに頑張ったり、成長することもできるでしょう。しかしここに弾力がなく、凹んでいる時は反発できないので深く傷ついて、そのまま家に帰りたくなるかも知れません。

その、弾力というのは脂肪なのでは?と思われるかも知れませんが、どんなに太ってお腹が大きくても、どんなに筋肉がムキムキでも、疲れてエネルギーが尽きている人はここが凹んでいます。怒りっぽくてしょっちゅう物を壊しているような人も、ここが抜けています。

そういう時は呼吸が浅く短くなっています。肺の弾力を失っていますから、しぼんだ風船を抱えているようなもので段々と肋骨が下がり、鬱と言われる状態になりがちです。また肺の厚みに左右差が出ると、眠りが浅くなって悪夢にうなされるようになります。

これを解消するためには、発熱を利用するのが一番早道です。

 

風邪の効用

赤ちゃんは暖かく死人は冷たいように、『熱は生きる力』です。

整体では、伝統的に「風邪」を大事な身体恒常性の現れとみなしてきました。風邪は感染性の発熱を誘導し、発熱は身体の弾力を回復し、免疫力を鍛え、左右差を緩和します。

リンク:「風邪の効用」について

バーンアウトの特徴に「風邪やインフルエンザにかかりやすくなる」「吐き気」「頭痛」などがあるようですが、私はむしろ、それらは身体が弾力を取り戻すための努力だと考えます。

体は弾力を失って硬直してくると流れが悪くなり冷えていきますが、それでは困るので、弾力を取り戻す為に熱と痛みを使ってエネルギーを集める法則が体にはあります。なので熱が出たら、いい機会だと思ってしっかり活用すると良いのです。

 

「熱は良いものだ、活用してやるぞ」と思うだけで、リラックスして副交感神経が働くので悪いものが排泄されて行きます(整体では、熱、汗、咳、鼻水等は毒素の排泄とみなされます。吐き気は排泄をしよう、とする働きです)。

しかし、「熱が出て困った、早く下げないと仕事ができない」と思うと緊張して交感神経が優位になり、排泄が阻害されてしまいます。

 

発熱を利用できず、硬直が進むと体は弾力を失ってだんだん硬く、冷えてきます。これは携帯の充電池が古くなったようなもので、しっかり眠ってチャージしたつもりでもすぐ電池切れになる。そもそも深く眠れなくなり、夢ばかり見てどんなに長く寝ても朝、スッキリ起きられなくなる。

子供の頃は、ベッドで目を閉じると次の瞬間には朝になっていたと思いますが、例え短時間でもそういった深い眠りが必要です。

ではどうやって体をゆるめて、深い眠りを取り戻し、疲労を回復して元気になるか?その具体的な方法を書いていきます。

 

深息法

体力の指標である下丹田に直接エネルギーを集める事で、体力を回復する呼吸法です。「継続は力なり」と言いますが、毎日続ける事で、徐々に下丹田が充実して強くなっていきます。

 

  1. 仰向けになり、少し腰(腰椎3〜5番)を反らせる
  2. 息を深く吸って、下丹田をできるだけ膨らませる、約三回くり返す
  3. 再び深く吸い、下丹田の緊張を約70%残しながら息を吐いていく。
  4. その緊張をキープしたまま、胸だけで浅い呼吸を繰り返す。
  5. 30秒〜1分ほどキープして、苦しくなったら大きく息を吸って全身の力をゆるめる。

 

次の呼吸が大きく入ってくれば成功です。

慣れてくると、座った状態や立った状態でも出来るようになります。

さらに慣れてくると、下丹田が抜けたり入ったりした瞬間がわかるようになります。嫌な仕事をやらされると瞬間的に抜けますし、やりがいのある仕事を任されると入ります。

 

邪気吐出法

深息法が上手くできない時に、横隔膜をゆるめて深い呼吸が入りやすくする方法です。よく眠れない時に、深い眠りを導くのにも効果的です。

 

  1. 椅子に腰かけ、息を吐きながらみぞおちを両手の指で押さえていく。前屈しながら行なうと指が中に入っていく。このとき鈍痛を感じるかもしれません。
  2. 押さえた圧をゆるめずに、少し息をすう。また前屈しながら、吐きながらさらに押さえてゆく。
  3. 2をもう一度繰り返す。息を吸いながら体を起こしていく。
  4. 1〜3を3回ほど繰り返す。

 

あくびが出れば大成功です。息を吐く時は、邪気(悪いエネルギー)を吐き出すイメージを持って「オエー」と声に出すとより効果的です。

 

リンパ体操

体が芯まで疲れて硬直すると、胸椎7番が硬くなり、脾臓の働きが悪くなり、免疫力が落ちます。風邪をひいて熱を出す事でゆるんできますが、なかなか風邪も引けない時はこの体操を続けて、少しづつ7番をゆるめて熱を待ちます。

 

  1. 仙骨を少し前傾させた状態で座る
  2. 右手の手首を左手でつかみ、両手を下に伸ばします
  3. そのまま両手を前から上げ、頭上に伸ばします
  4. それを12時の方向として、11時の方向に右手を伸ばし、約10秒間伸ばし続けます
  5. 手首をもちかえ、12時の方向に再び両手を伸ばします。同様に1時の方向に10秒ほど左手を伸ばします
  6. 2〜5を数回繰り返します。

 

腋窩リンパを伸ばす体操ですので、脇の下が伸びていれば成功です。脇腹が伸びている時は傾けすぎて失敗しています。

シンプルな体操ですが、朝晩続けていれば、数ヶ月後には流れが良くなって顔色がよくなっているのに気づくでしょう。しかしもっと大事なのは、免疫応答の感受性が高まりますので、必要な時に熱が出せるようになっていくことです。

医療費を節約する“万能の自己療法”と、症状の意味について

 

整体には「蒸しタオル法」と言う自分の不調を自分でケアできる方法が伝わっており、別名「万能の自己療法」と呼ばれています。
井本整体には、この蒸しタオル法と人体力学体操、「風邪の活かし方」を利用して、何年間も医療費ゼロで済ませている生徒が沢山おります。

今回はその“万能の自己療法”をお伝えしようと思うのですが、その前にお伝えしなくてはならないのは、「治癒には排泄が伴う」という事です。多くの人は、自然治癒が引き起こす排泄を「症状」と呼び、人為的な治癒(治療)が引き起こす排泄を「好転反応」と呼びますが、これらの排泄反応を止めてしまうと、治癒も止まってしまいます。

そして排泄されるはずだった老廃物は形を変え、もっと大きな「症状」として後に現れます。それも抑えていくと、体は毒素を集めて塊を作ってきます。

そこで、ここでは、まず「症状の意味」をお伝えしてから蒸しタオル法の具体的なやり方をお伝えします。

症状の意味
「症状」のほとんどは老廃物の排泄反応ですが、多くの方がこれを「病気」とみなし、止める事を考えます。しかし、異常を異常として認識できない事こそが「異常」であるように、排泄をしない体こそが「病気の体」と言えます。整体ではこれを「無病病」と呼びます。
例えば、ケガをしても痛みを感じないのが異常であり、腐った物を食べても下痢をしないのが異常です。
風邪ひとつひかない丈夫な人が、しばしば急な大病で亡くなるのもこのためです。整体ではこれを「小さな病気を止めれば大病になる」と言います。病気、つまり排泄はまめに行う事が健康につながります。

ですから、もし蒸しタオル法や整体操法の結果、何か好転反応が起きても、慌てて止めないでください。以下に、症状とその意味を列挙していきます。もしこれを読んだ後も不安が残るようでしたら、その時は井本整体指導者にご相談下さい。

・痛み、炎症
体の一部が打撲や疲労で硬直してくると、流れが悪くなって冷えてきます。部分的に死に近づいている状態ですので、体はこれを回避するためにエンコサノイドなどの発熱発痛物質を出して血管を拡張し、流れを回復させようとします。
ですので、基本的には冷やしたり痛みを止めたりすると、体の中に硬直を作る事になり、それが「古傷」になります。頭部打撲は例外ですが、蒸しタオル法で温め、血行促進を助ける事で痛みが消えていきます。意外に思われるかも知れませんが、「痛み」が必要なくなるからです。
ただし、温めても軽減しないような神経痛は「排泄」ではない、本物の病気と言えます。

・発熱、寒気

赤ちゃんは温かく、死人は冷たいように、「熱は生きる力」です。
体が硬直したり、冷えたり、循環が悪くなってくると、言い換えると死に近づいてくると、生きる力がある方は熱を取り戻すために発熱します。またその前に、体は発熱する準備として寒気を感じて熱への要求を高めます。ですから通常は熱は止めずに、出し切ります。上手く熱を出しきると、体は柔らかさ、温かさ、循環を取り戻します。熱が高すぎる時や、熱が上がりきらずにぐずぐず長引く時は後頭部にある体温調節中枢を刺激するために、蒸しタオル法を行います。
寒気がいつまでも続く時も、うまく発熱できていないので後頭部に蒸しタオル法を行なって発熱を誘導します。

・咳、くしゃみ
肋骨が硬直している時に、それを揺さぶって弛める自発的な運動です。
肋骨が硬直していると、その下にある臓器の拡張と収縮が阻害され、働きが悪くなります。また、肋骨の隙間にはたくさんのリンパ節がありますので、肋間筋の硬直はリンパの流れを阻害します。
どんどん出して、肋骨が弛めば自然に収まりますが、苦しいところに蒸しタオル法を行えば経過が早まります。

・鼻水
滴り落ちるような鼻水は、乾燥していた肺に潤いを与えるものです。息を吸う時に湿気が肺に送られます。なので、蒸しタオルを顔に乗せて湯気を吸っていると鼻水が止まります。また、鼻水をしっかり出していると肺が温かくなってきます。

・鼻づまり
消化器が疲れている時に、匂いがわからなくなって食欲が落ちるように鼻づまりになります。薬で鼻を通してさらに食べ続けると、消化器を壊していきますので、素直に食事を抜くか、減らしていると鼻が通ってきます。

・かゆみ
流れの悪い所に、体はかゆみをだして掻かせることで循環を取り戻します。また、下痢などで下から捨てられなかった毒素もよく皮膚から排泄されます。これをさらに止めてしまうと体の中に塊を作ってきます。
整体では「かゆければ掻く」が鉄則で、掻いて血や膿が出れば毒素がどんどん排泄されるので「なお良し」とされます。血膿も出し切ればまた綺麗な肌に戻りますが、怖い方は患部に蒸しタオル法を行います。また、中毒が進行していると掻いても手が届かない「体の中」が痒くなりますが、これも蒸しタオル法を行います。

・湿疹、アトピー
「かゆみ」で書いたように皮膚からの排泄ですが、掻くと痛い方は患部に蒸しタオル法を行います。
一般的にはステロイド等で「止める」事をしますが、どんどん抑えが効かなくなり、ステロイドを極限まで増やしても止められなくなって、初めて「排泄する」事に賭けてみる方が多いのですが、それまで溜め込んだ毒素を排泄するのに苦しみながら、数年かけて徐々に回復していくようです。それでもステロイドでDNAが変わってしまうと完治は難しいので、初めから蒸しタオルで出した方がよろしいでしょう。通常は、蒸しタオル法を行うとただちに痒みが軽減します。

・嘔吐、下痢

腐ったもの、毒物を摂取した時は、敏感な方はすぐ嘔吐して排泄します。それが間に合わなければ下痢で排泄します。鈍い人は排泄が起きずに毒素を溜め込みます。ですのでどんどん出せば良いのですが、痢症活点という肝臓の急所に蒸しタオルを行うと、楽に素早く排泄が終わります。

妊婦さんの「つわり」は、胃の悪い方がなりやすいのですが、これも毒素の排泄です。ストレスで胃が硬直している人も「空嘔吐」をして運動を行い、胃を弛めようとします。胸椎5番という三半規管や汗の急所が硬直している人も、隣り合う胸椎6番、胃袋の急所に影響して吐き気を催すことがあります(車酔いなど)。

整体では上記のような症状は排泄なので止めてはいけない、「出るものは全て善し」と言います。ただし、いつまでも終わらずにどんどん消耗してくる排泄は、体の自然治癒力を越えた「本物の病気」と言えますので、その際には必ず医師にご相談ください。

 

蒸しタオル法

それでは、いよいよ蒸しタオル法の説明に入ります。まず蒸しタオル法の原理、次に基本的なやり方、最後に注意事項について説明いたします。

蒸しタオル法の原理
生命とは「呼吸すること」です。呼吸とは、収縮と拡張を繰り返しながら、吸収と排泄を繰り返す事です。人間は栄養、薬など「吸収」については貪欲に追求しますが、排泄については興味を失いがちです。そのため体内に毒素をため込みがちですが、蒸しタオル法は熱と蒸気の刺激を用いてこの「排泄」を促進し、細胞の呼吸を取り戻し、生命力を取り戻す方法です。

具体的には、「適温よりやや高い」温度の蒸しタオルを当てる事で交感神経を刺激し、血管を収縮させます。それが冷めてくる事で副交感神経が刺激され、血管が拡張されます。これを数回繰り返す事で、血管自体のポンプ運動を促進します。これによって血流が改善され、老廃物が排泄され、新陳代謝が促されます。
またこの時、周辺の細胞のポンプ運動も促進されています。
また、蒸気が直接肌にあたる事で、毛穴が開いて直ちに発汗が始まります。発汗とともに、皮膚からも老廃物が排泄されます。ですから、蒸しタオル法は必ず地肌に直接当てる必要があります。

蒸しタオル法の基本
① 85cm×35cm程度の、やや厚手のタオルを1枚用意します。

② タオルを手のひらより少し大きい程度の大きさにたたみます。

③ 水に浸して、水が滴らない程度に水分を残して絞ります。

④ 加熱します。熱くなりすぎた時は、火傷しない温度まで冷ましてください。

電子レンジを使う… 60〜90秒程度加熱します。
熱湯を使う… 熱湯にひたしてから絞ります。火傷しないようにゴム手袋か、軍手の上からゴム手ぶくろをはめて絞りましょう。

⑤ 快適な温度より高く、火傷するより低い温度で患部に当てます。
⑥ 3〜5分経って冷めてきたら、同じタオルを温め直します。

⑦ 再び患部に当てます。数回繰り返します。

蒸しタオル法の注意事項

火傷をしないようお気をつけください。また、何日も継続する事で皮膚が黒ずんできたり、皮膚が硬くなって来た時は、温度が高すぎて低温火傷を起こしておりますので、皮膚が戻るまで休止して下さい。

蒸しタオル法は「3〜5分かけて自然に冷めていくこと」「タオルを温め直す間があくこと」が重要で、この温度変化の波がポンプ運動を誘発する事に意味があります。ホットパックなどで持続的に暖める方法とは区別して行って下さい。

打撲の直後、脳梗塞の疑いがあるとき等、血管が破れている恐れがある時は行わないでください。それ以外でも、蒸しタオルを当てて「不快感」がある時は中止して下さい。何か体にとって不都合があると思われます。

お風呂の前後の蒸しタオル法はあまり効果的ではありません。全身への熱刺激が、部分への熱刺激を弱めてしまうからです。間を2〜3時間開けるのが効果的です。

お酒、大麻など自律神経に作用する嗜好品をとっている時は、反応が読めませんので避けて下さい。

最後に

蒸しタオル法の応用や、実践を含む詳細は、とてもここには書ききれません。詳しくは:

島村整体
井本整体ヨーロッパ支部
井本整体東京本部
までお問い合わせください。

蒸しタオル法は体の中の自然治癒力を最大限引き出すのが目的です。上手に活用できれば市販薬はほとんど使わなくて済むようになるはずです。まずはご自分の回復力を信じてお試しになってみて、自然治癒力の限界を超えていると思われたら、迷わず医師にご相談ください。その上で医学的治療と併用する事は、回復を大いに助けるでしょう。

上記記事についてのご質問は島村整体までお寄せ下さい。

「風邪の効用」について

最近、素晴らしいニュース記事を目にしましたので、その事と関連して風邪の対処法について書いておきます。

整体では、60年前から風邪の「効用」を訴えています。整体法の創始者、野口晴哉はそれらについて1960年代に講義を行い、整体協会が内容をまとめ、「風邪の効用」と題して1986年に出版しました。
私が師事する井本邦昭先生も、1995年に「風邪をひけ!熱を出せ!」を出版されております。

風邪の「効用」と言いますのは、整体では、風邪は健康でバランスの取れた体に還るための、自発的な一連の反応であると捉えているのです。具体的に申しますと、風邪やインフルエンザによる発熱の結果、末期ガンが消滅した、難病が治ったなどの事例が(少数ではありますが)臨床で観察されているのです。

もちろん、このような事を言うとバカバカしい、ニセ科学の話のように聞こえるでしょう。しかし最近出た以下の記事“Bouts of fever may make us more resilient to cancer”には、

「何十年にもわたり、数々の研究が発熱の既往歴と癌リスク低下の関連性を示唆してきた」
そして、科学者たちは「感染による発熱は、Vg9Vd2 T細胞を血中の白血球の60%まで顕著に増加させ」「ガンマデルタT細胞を増やし、腫瘍に対する、生涯にわたる免疫抵抗力を高めるカギとなる」
ことを発見した、と書かれています。

また、ご存知かと思いますが、いわゆる「難病」の多くは免疫機能の異常に起因すると見られています。
感染による発熱は、免疫機能の重要な働き。つまり、あなたが解熱剤を飲んだ時、免疫機能はその働きを邪魔されます。伝統医学の視点から、整体ではこれが免疫機能の異常を引き起こす主要な原因ではないかと見ています。

ですから、もしあなたが免疫機能を正常に戻したい、または強化したいのであれば、今度風邪をひいた時には、邪魔する事なくしっかりと経過させる事をお勧めいたします。

その方法は以下のようになります。

1. 固形物を摂らない。風邪薬を飲まない。

風邪薬を飲まない理由は前述した通りですが、風邪薬は風邪の「諸症状を抑える」ものです。これらの諸症状は正常な免疫反応や、排泄反応の結果ですので、それを抑えるという事は正常な免疫反応を抑制し、毒素の排泄を抑えるという事です。排泄されずに溜まった毒素は、体内に溜まって後に別の形で病気の原因となります。

固形物を摂らない、の理由は、「食べる」というのは吸収の働きですから、毒素の「排泄」の逆の働きで、やはり排泄の邪魔をする事になるからです。

また、吸収の前に「消化」がありますが、たくさん食べると動けなくなるように、消化にエネルギーを使う事で新陳代謝に使うエネルギーが奪われます。ですから、風邪による発熱で活発になるはずの新陳代謝にブレーキをかける事になるのです。その結果、風邪が長引いたり、咳がいつまでも残ったりしがちになります。

固形物を避け、カロリーを落とすことで、つまり胃をカラにする事で、風邪の経過は劇的に早くなり、症状も軽くすみます。
水分は、スポーツドリンクやスープ、お茶など、体の要求に従って取ります。
(世界には、風邪の時はウォッカ等アルコールを摂って発汗を誘導する地域も多いのですが、肝臓が硬直するため、整体では飲酒は避けるように言っています。)

2. 出来るだけいつも通り動く。

これも常識とは逆ですが、発熱している状態というのは「実」の状態ですので、ポイント1を守っていれば意外と普通に動けるものです。そして、動くことで更に新陳代謝が活発になります。
アスリートが高熱を出したまま試合に出て、意外な好成績を残した話をお聞きになったことがあるのではないでしょうか。

3. 蒸しタオル法で後頭部(発熱中枢)を刺激する。

発熱が正常であれば、必要はありません。ただ、熱があまり上がらず寒気がしてどうも経過が悪い、または高熱がなかなか下がらない、熱が上がったり下がったりする、などの時には後頭部(ぼんのくぼ)に熱い蒸しタオルを当てると、脳の発熱中枢が刺激され、正常な発熱が誘導されます。
5分ほどでタオルがぬるくなりますので、また熱くして合計3〜5回ほど繰り返します。その温度の波が、最も効果的な刺激となります。

4. 熱が下がった後も、約16時間は安静にして固形物は避ける。

熱が出ている時とは逆に、熱が下がった時、体は疲れ切った「虚」の状態になっています。この時は注意して体温を測ると平熱よりわずかに下がっており、いわゆる「低温期」になっています。
この期間に栄養を「取り戻す」かのように食べてしまうと、肝臓が腫れてなかなか戻りません。また、この期間に強い刺激を入れたり、体を冷やすと風邪がぶりかえして、今度は長引く事になります。

これらのポイントを守れば、風邪の経過は劇的に早くなるでしょう。整体では、2日も風邪を引いていると「長すぎる」と言われます。
子供のように、パーッと高い熱を出して、それでも意外と元気に遊んでいたり、食べるのを嫌がって、急に寝て、翌日にはケロッとしている、というような風邪の引き方が最高なのです。

うまく風邪を経過させられると、発熱と排泄によって新陳代謝が活発になりますので、顔色がよくなったり、肌が綺麗になったり、体が引き締まったり、長年の不調や、関節の痛みなどが消えている事に気がつくかも知れません。

整体の言う事は、世間の常識とは真逆な場合も多いのですが、長い年月をかけて整体指導者に確かめられてきた方法です。それが先述のように、今になって最新の医学によっても裏付けられてきております。

整体とマインドフルネス

近年、オランダでもマインドフルネスが流行っていると聞きます。マインドフルネスとは元々禅やヨガから来た概念のようですが、この高度情報化社会においては、過去を悔やみ、未来を憂い、今を忘れがちな現代人にとって必要性を増している概念なのでしょう。

整体の創始者、野口晴哉氏は「臨済録」という禅宗の一派、臨済宗のバイブルとも言える本をいつも手元に置いていたそうですが、その中心的な教えは

「赤肉団上に一無位の真人あり 常に汝等諸人の面門より出入す 未だ証拠せざる者は 看よ看よ」

(あなたの肉体の中には唯一無二、完全無欠の存在がある。まだそれに気がつかないか。自分の中を見ろ!)

だと思います。

Japanese painting of Linji Yixuan (Jap. Rinzai Gigen).

現在、整体はいかなる宗教とも無関係ですが、その源流となる思想は禅の影響を大きく受けているように私は思います。

井本邦昭先生は、「心と体は一つ」「わざわざ滝に打たれないと修行ができないようでは駄目」と昔から仰っていましたが、体を整えることで心が整うのであれば、確かに「ここではないどこか」へ行く必要はどこにもありません。

整体は体の「中心」に力を集めることで、その人の中に本来持っている生命力をフルに活用する技術です。力を集めるとは、意識を集めることでもあります。それはとてもシンプルなことですが、複雑な社会に生きる現代人が忘れがちなことでもあります。

整体に伝わる、以下のような簡単な呼吸法で、あなたの「中心」に力を集めてみてはいかがでしょうか。

脊椎行気法

  1. 背筋を伸ばして座る(正座ができれば正座をする)
  2. 頭のてっぺんに穴が空いているイメージで、そこから背骨に沿って息をゆっくり深く吸い込んでいく
  3. 背骨の下の方(腰椎)まで深く吸い込んだら、逆のルートで頭のてっぺんから息を吐いていく
  4. 1〜3をしばらく繰り返し、最後はゆっくり息を吐きながら、右目、左目の順に目を開けて終了する(右目から開けるのには理由があります)。

このように書くと簡単ですが、実際にやってみると、背骨のどこかで息がつっかえて腰まで吸い込めない方が多いと思います。その椎骨はあなたの不調の原因ですので、その骨を小さく動かすようにしながら、呼吸を往復させていると段々とそのつかえが取れ、深く吸い込めるようになってきます。

こうして一つ一つ背骨のつかえを取ることで「完全な健康体」に近づいていく呼吸法で、理屈は単純だが実践は難しい、究極の呼吸法ともいえます。

整体と指圧、マッサージとの違い

患者さんからよく聞かれる質問に、「整体は指圧とは(マッサージとは、etc.)どう違うのですか?」というものがあります。

私は井本整体しか深くは学んでおりませんので、比較ができずとっさに答えられない事が多いのですが、これまでの経験で「こういう所が違うかな」と思う主要なところを書き記しておきます。

命に対する礼

井本整体に入門すると、まず最初に必ず教えられるのは「命に対する礼を忘れない事」です。技術に対して誠実に向き合うことは、もちろん学習者にとって大事なことですが、その中でふと、世界にただ一つの「相手の命」を忘れてしまう事があります。

また、臨床に出ると日々の忙しさの中で、思わず作業をこなすように患者さんのお体に触れてしまいそうになりますが、これはとても失礼な事であり、ある講師には「体に触れることに緊張感を持たなくなったら、整体を辞めた方がいい」と言われたこともあります。

硬結

ツボ(経穴)と言うのは皆さん聞いた事があると思います。体表のごくわずかな凹みですが、元々は「大事な宝がしまってある壺(容れ物)」という意味でツボと呼ばれるようになったと聞いた事があります。井本整体では、この微細なくぼみの中に、「硬結」という宝がある、と教えられます。

硬結は岩塩の粒のような小さな塊で、尖った角を持っています。この角を指で直角に捉えて押さえる事ができると、刺激が体の中に浸透し、その人の体の悪いところに向かって響いて行きます。

それもただ押さえれば良い訳ではなく、ちょうど良い圧度で押さえ、そこで静止する事で初めて効果を発揮します。この硬結も、かつては鍼の名人が長年の経験の中でようやく見つけ出し、ごく限られた子弟にしか伝えなかった秘伝でした。

とは言えこれは整体操法の初歩の初歩で、この後にいくつかのプロセスを経て最大の効果を発揮しますが、これは省略させて頂きます。

中心

井本整体では、硬結を直角に捉えるのと同じように、相手の「中心に力を集める」事を行います。

図は極端ですが、同じ方でも疲れてくると肩甲骨の位置や肋骨が外に開いて、左図から右図のようになって来ます。人は、元気な時は中心である背骨に力が集まっていますが、この時は背骨が体重を支えているので体の重みを感じる事なく、素早く動いたり考えたりする事ができます。

また、中心に力が集まると余計な緊張が取れますので体が弛み、血液やリンパ、神経系統の流れも良くなります。流れが良くなりますので、老廃物や余分な脂肪などの排泄も促されます。

井本整体では、操法(施術)においても、体操においても、必ずこの「中心に集める」事を意識します。これは井本邦昭先生が長年の臨床経験の中で見つけ出した力学的な原則で、この原則に基づいて井本整体の技術は編纂され、「人体力学」と総称されています。